「平秀宗です。あなたから話しがあると斎藤から聞いたものですから、ここまで足を運びました」
「急なリクエストだったにもかかわらず、時間に遅れることなく訪れていただき感謝している。昼食でも一緒にどうかね、君が空腹であると嬉しいんだが」
「連絡を貰った少し前に、ビールを飲んでいました。外の猛暑に慣れ親しだ生活をしてるものですから、今は液体以外は喉を通りそうにありません」
「食欲が不振なのではしかたがない、では、その楽しみを続けてくれたまえ」
不快感を与えるつもりで酒を飲んだと言ったのに、男の顔色に曇りの影は見いだせなかった。厭味が通じなかったのかもしれない。全く意に介していないといった様子だった。私は感心と感謝の意味を込めて、遠慮なく頭を下げた。男は授業員を呼び出し、一人分の食事のキャンセルを告げてから私にビールを運ぶよう指示した。ビールのサイズと銘柄は男が指定した。

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